書評『#GIRLBOSS(ガールボス) 万引きやゴミあさりをしていたギャルがたった8年で100億円企業を作り上げた話』

金もない、学歴もない。お金を稼ぐために初めて売った商品は盗んだ本。古着屋で仕入れたヴィンテージを売り始め、8年で社員350人、年商100億円を超えるまでに成長したオンラインショップ「Nasty Gal」の創業者、ソフィア・アモルーソの自伝です。

内容

アウトサイダー

どこに行ってもはみ出しもの(アウトサイダー)、学校でもアルバイト先でも。学校というものにはまるで馴染めず、12年間に9回も学校を変わります。高校2年生の最後の頃は学校に行くのが嫌で、自宅学習にしてもらったほどです。

しかし両親が離婚騒ぎの中、17歳の時に高校を卒業せずに家出。

自分の部屋の家具は道端で拾った粗大ゴミと盗品、食事は「クリスピー・クリーム・ドーナツ」でゴミ箱をあさり、木の上に住む男とつきあいます。

18の時には家賃を稼ぐために盗んだ本をアマゾンで販売。アナーキズムをかじり、「所有」という考えを認めてなかった若い頃、誰のものでもないはずのものを万引きするのは間違ったことではない、と信じていました。

しかし20歳の時に盗みが見つかります。幸い警察の世話にはならなかったそうですが、犯罪者として生きるのはやめようと決意します。

イーベイ

美術学校の玄関ロビーで身分証のチェックを行う仕事をしていた著者、退屈な仕事でネットで遊ぶ時間がたくさんあったそうです。当時流行っていたSNS「マイスペース」でイーベイのヴィンテージの出品者たちからフレンドリクエストをたくさん受けます。そしてこれなら自分でもできると思い立ち、「ネットオンチのためのイーベイ・ビジネス入門」という本を買って独学で勉強、出品します。

倒産した劇団、遺産整理をする家、リサイクルショップから商品を仕入れ、友達にモデルになってもらって写真を撮り、商品説明・サイズをイーベイに登録、客とのやりとり、そして出荷。

商品が売れれば似たようなものを仕入れに行き、売れなければ2度と似たものに手を出さない。そういうことを続けて世の中の女性がどういうものを欲しがっているのかを学んで行きます。

キッチンもついてないプール用の倉庫を月500ドルで借り、ヴィンテージの服、包装用資材に埋もれながらの作業。マーケティングはマイスペースやブログで、コメントには必ず返信したそうです。

撮影、写真編集(フォトショップ)、Ftpでアップロード、仕入れ、梱包、発送、機械のように働きました。

徐々に売り上げが増えて行き以前1ヶ月働いてもらっていた額を1週間で稼ぐようになります。

売り上げが増えるとともに、同業他社からの嫌がらせも増えて行きました。

その頃既にイーベイから脱出することを検討していましたが、イーベイで自社サイトの宣伝をしたためアカウント凍結。自社サイトのみでやっていくことになります。

成長

自社サイトではマイスペースのフレンドに営業し、全商品が1日で完売しました。作業場が手狭になり、より広い場所へ引越します。

それまではヴィンテージのみでしたが、新品も販売するようになりました。ラスベガスの見本市に足を運び、最初は相手にされませんが、必死に交渉して取引先を増やして行きます。

最初は売れるかどうか見極めるために6着単位で仕入れたそうです。売れても勉強、売れなくても勉強。それがやがて12着、24着になっていきます。

顧客とはSNSで24時間単位でやりとり。また手狭になり引っ越し。人もチーム体制が組めるくらいに増えて行きます。さらに8ヶ月でまた引越し。仕入れるより早いペースで売れて行きます。

コンサルタントを雇い「企業組織図」というものを教えてもらいました。人事担当取締役、監査役、カスタマーサービス部長、在庫管理部長、発送担当部長、と役職が増えて行きます。

1日の売り上げが10万ドルを超え、1年でまた倉庫が足りなくなり、引越します。

「全米最速の成長を遂げた小売業」と言われたほどの成長でした。

感想

自分の居場所を探し続けて

学校には馴染めず、職も転々。ひたすら自分の居場所を探し続けていました。著者は自分自信を内向的な人間だといいます。

ナスティ・ギャルを始めた理由のひとつは、ひとりになれる仕事、そして人と交渉しなくていい仕事がしたかったから

その自分の気持ちに正直に向かい合い、諦めずに探し続けていくことで居場所を見つけることができました。自分の心を麻痺させてはいけない、そう思いました。

その後

この本のその後として、著者は2015年にようやく見つけた居場所であるNasty GalのCEOの座を退きました。実店舗にも手を拡げましたが、Nasty Galは2016年に破産申請し、イギリスのBooHooグループに買われます。

著者は現在Girlbossというメディアを運営、2017年12月にはベンチャーキャピタルから310万ドルの投資を獲得しています。あらたな居場所を見つけたようです。