書評『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』
飲まない方がいいんだけどなあ、と分かってはいても、ついつい飲んでしまう。全国のアルコール依存症の患者は、予備軍を含めると1000万人以上だと言われているそうです。自分ではそう思ってなくても実は既に依存症かも…飲酒をコントロールして、生活の質がすぐに向上する知識と術を教えてくれる書籍です。
内容
あなたはもう既に依存症?
もし、仮にあなたがお酒をやめたら、どう感じるでしょう?
- 大事な何かを失ったような気がする
- 晩酌しないと、一日が終わった気がしない
- 人生の楽しみが半減しそうで味気ない…やはり禁酒は無理だ
このような、喪失感や切なさがこみ上げてくると要注意。
飲まないことの喪失感が大きいのは、アルコールへの依存が強くなっている証拠です。
しかし、体の仕組みを理解して順を追って禁酒生活を進めれば、「お酒がない人生=つまらない」という思考から、「お酒がない人生こそ素晴らしい」という思考に、変化を起こすことができるそうです。
お酒を飲むと体では何がおこっているのか
体内に入ったアルコールは胃腸から吸収されて、ほとんどは肝臓で処理されます。その時に「アセトアルデヒド」という有害物質が発生し、酵素がこれを無害な「酢酸」に分解して、排出します。この過程でかかわるアルコールの分解酵素とアセトアルデヒドの分解酵素の組み合わせで、お酒に強い・弱い・依存症になりやすいなどが、決まるそうです。アルコールの分解が遅く(脳が長く高濃度のアルコールにさらされる)、アセトアルデヒドの分解が速い人は依存症になりやすいタイプとのこと。
ちなみに人種的な違いとして、アメリカ人が大量に飲酒すると臓器障害が出る前に、暴力などの問題を起こすことが多く、それがアルコール依存症の早期治療につながっているそうです。逆に日本では、臓器障害が深刻化してから依存症の治療に取り掛かること多いそうです。
わかっちゃいるけどやめられない、というのはドーパミンの仕業。アルコールを飲むと、少量でも効率的に脳内でのドーパミンの分泌を増やします。さらにセロトニンやオピオイドといった神経伝達物質の分泌も増え、負の感情が吹き飛びます。
またアルコールとうつ病には密接な関係があります。飲むとドーパミンなどの効果で気分が上がりますが、酔いが覚めると気持ちはガクッと落ち込み、さらに重いうつ状態に。
アルコールの危険性
アルコールとは何か。著者は言います。
脳と体への影響を考えるとれっきとした「薬物」です。
アルコールは合法なので、違法な薬物にくらべ依存性が低いと考えるのは間違い。書籍では、ある実験結果による依存性の高さを表で示していますが、下手な違法薬物よりアルコールの方が依存性が強いと言える結果になっています。さらにアルコールは合法なので、違法薬物に比べると簡単に入手できます。20才以上ならスーパーやコンビニなどですぐに買うことができるわけで、この入手の容易さもアルコールの依存性の高さの一因になっています。
またイギリスでの「使用者への有害さ」、「他の人への有害さ」(例えばDVなど)の両面から有害さを比較した調査では、「他の人への有害さ」はアルコールがダントツの高さでした。
つまりアルコールの危険性は違法薬物をしのぐほど高い、ということが言えるそうです。
お酒をやめるメリット
書籍ではお酒をやめる7つのメリットが紹介されています。
- ぐっすり眠れるようになる
- 夕食の量と体重が減る
- 肌の調子がよくなる
- 出費が抑えられる
- 生活習慣病やがんのリスクが低くなる
- 思考がクリアになる
- 時間にゆとりができる
さらに著者は言います。(肉体的には)飲酒のメリットはゼロ。禁酒のデメリットはゼロ。
お酒をやめるには
お酒を止めるために、著者は「見える化」を重要視しています。ノート、パソコン、スマホなどを使った禁酒日記の作成。そのためのスマホの無料アプリも紹介されています。
他にも様々な方法で禁酒を進める方法が、書籍には記載されています。
感想
飲酒に精神的な効用はあっても、身体的な効果はまったくないということがわかっています。
身体的な効果は全くないそうです。そう、これは感じることができます。酔いからさめるときや翌日のあの不快感、あれはまさに毒物としか考えられません。なのに一仕事終えるとつい…それでもあれやこれやと理由を考えて、例えばJカーブとか、長生きしてる人が毎日焼酎飲んでるとか、そんな言い訳をしながら飲もうとしてしまいます。もうこれだけでも、十分依存症ですよね。
幸いながらまだ体には異常がないので、今のうちに機会飲酒程度にはもっていきたいなと思います。個人的には炭酸水にレモン汁を入れたのを飲むと、かなり飲酒欲求が減るので重宝しています。