書評『奇跡のホルモン・スイッチ 潜在能力を引き出す』

「なぜ、あの人は仕事が早いんだろう」「あの人は、どうしていつもやる気にあふれているのだろう」こんなことを思ったことはありませんか?自分には能力がない、そう思い込んであきらめようとしていませんか。自分の能力ややる気を自在にコントロールできる、魔法のスイッチ「ホルモン」。そんなホルモン・スイッチの押し方を教えてくれる書籍です。

内容

第1章 あれも、これも!ホルモンのすごい働き

健康ネタの番組や書籍を見ると、よくでてくるホルモン。ホルモンとはそもそも何なのでしょうか?

簡単にいうと、ホルモンは、体の中で発せられる指令や合図です。

私たちがメールや会話で相手に気持ちを伝えるのと同じように、体の中ではホルモンという伝達物質を使って、「怒りを抑えなさい」「瞳孔を開きなさい」などの会話を行うそうです。

人間には100種類以上のホルモンがありますが、それぞれのホルモンが特定の指令を伝える役割を与えられています。そしてその役割は大きく分けると5種類に分けられるそうです。

  • 脳の働きをコントロールする…感情などの脳内活動をコントロールする
  • 体内環境の維持…常に一定で健康な状態に保とうとする
  • 体の成長…体や脳を成長させる
  • 性別を決める…男性らしさ、女性らしさを育む
  • 体を防御する…ウイルスやストレスから体を守る

また伝える手段としては、

  • 神経から神経に伝わるもの…神経伝達物質といわれる電気信号
  • 血液を介して伝わる

の2種類があります。ちなみに神経伝達物質は0.1~0.2ミリ秒、血液を介して伝わるものは1分で、情報を伝えるそうです。

化学構造的には

  • アミノ酸系
  • コレステロール系

の2つ。アミノ酸系は肉・鰹節・チーズ・大豆等、コレステロール系は脂系で卵・魚介類・レバー・ラードなどが材料となるそうです。

菜食主義だとホルモンを作る材料が足りず、うつ病になる可能性が高くなるとの研究もあるそうです。

第3章 人生を成功に導く3大ホルモン

著者は3大ホルモンとして、以下の3つを挙げています。

  • ノルアドレナリン
  • ドーパミン
  • セロトニン

よく、ものすごく集中したり、エネルギーが出たりする状況を「アドレナリンが出る」と言うことがありますが、これは厳密には間違いで、実際は「ノルアドレナリン」が出ているとのこと。このノルアドレナリンはやる気ホルモンとして紹介されています。「闘争か逃走のホルモン」と呼ばれることもありますが、闘争か逃走かの判断は同じ状況でも人によって変わってくるそうです。

ノルアドレリンで闘争モードにして見事勝利をおさめれば、ドーパミンの出番です。

成功する人は、信念を胸に、未知なる目標を持ち、ワクワクドキドキしながら、さらなる高みを目指し、達成したら脳内から報酬としてドーパミンがでる。ドーパミンによって達成感が得られます。

ただし間違った方向に使ってしまうと、買い物依存症などの依存症になってしまいます。またドーパミンが作られなくなると、パーキンソン病になるそうです。

そして3番目のホルモン、セロトニンの大きな役割は理性をコントロールすることです。先ほどの依存症、ドーパミンだけで決まるのではなく、セロトニンの少なさも影響するそうです。また優先順位をつけるのもセロトニンの役割で、仕事の優先順位をつけられないのもセロトニンが足りないからとのこと。ランニング、写経など、無になって集中できることをするのがセロトニンを増やすそうです。 

第5章 ホルモン・スイッチをオンにする生活習慣

体や心に大きな影響を及ぼすホルモン。どうすればそのスイッチをオンにできるのでしょうか?

何はともあれ背筋を伸ばしなさい

「猫背」と「鬱」には大きな関係があるそうです。姿勢を保つ抗重力筋を刺激することで、セロトニンが分泌されるとのこと。そして抗重力筋の中でも最も大きい、背中の筋肉を刺激するのがベストだそうです。本章では、その背中を鍛える背中体操や、「太陽の光を浴びる」「部屋を暗くして寝る」等、ホルモンのパフォーマンスがあがる15の生活習慣が紹介されています。

また第6章ではホルモンを出す「つぼ」も紹介されています。

感想

書籍から3つの章を紹介しました。本書では他にも

  • 第2章 ホルモンを操って仕事力を高める
  • 第4章 ホルモンがわかれば女心がわかる
  • 第6章 困ったときにすぐ効くツボ・スイッチ

の章があります。

ホルモンを自在にコントロールできれば、すごい人になれそうです。昔の人たち(今でもいると思いますが)が厳しい修行をしてたのは、ある意味ホルモン(や自律神経)を自分でコントロールする術を学ぼうとしていたのかなと思います。

しかし体に関する本を読んでいると、人間の体って実は機械?と思うことが多々あります。結局人間って電気や薬品で動いている?この書籍もそう思わせてくれる、その一つです。体のセンサーで感じ取った情報が脳で処理され、その結果ホルモンなどが生成されて、体、ひいては心にも影響を与える…一体どこまで自分の意志というものがあるのだろうと、いつも考えてしまいます。