書評『「野菜中心」をやめなさい ~肉・卵・チーズのMEC食が健康をつくる』

「野菜をちゃんと食べなさい。」小さいころ嫌になるほど聞かされた言葉です。野菜が嫌いだった私は泣きながら食べてた記憶があります。そんな子供のころにこの本があれば…

いや、しかしさすがに本当に大丈夫?と思いつつも読んでみました。

内容

過去の「健康常識」を捨てる

「コレステロールの多い肉や脂を控えて、食物繊維たっぷりの新鮮な野菜を中心に、バランスよく食べましょう。それと同時に、ウォーキングやジョギングなどの軽い運動も、欠かさずに行いましょう……」。

血液検査の結果が良くなかった人が聞かされるセリフです。いわゆる「カロリー制限食」。

しかし著者は言います。今の医学と栄養学には根本的な誤解があり、さらにその上に別の誤解が加わって…と幾重もの誤解が絡まって抜け出せなくなっていると。カロリー制限食には様々な問題があることが世界中の多くの医学研究で証明されているのに日本ではなぜか無視され続けていると。

著者も昔はカロリー制限食を患者に進めていたのですが効果なし。体重は減らない、高血圧や高血糖の数値も下がらない…そこで思案してある方法を生み出しました。空腹を我慢せず、満足するまでたっぷり食べられる。にもかかわらず血液検査の数値が軒並み改善され、減量できる。それがMEC食だそうです。

MEC食

肉(Meat)・卵(Egg)・チーズ(Cheese)の頭文字をとったMEC食。名前のように肉・卵・チーズを一口30回よく噛んで食べるというシンプルな食事法です。

この方法を15年以上続け3,000人以上の方が健康を取り戻したといいます。中には体重120kgだった男性が1年間で50kgの減量に成功したり、80kgだった女性が1年間で20kg以上の減量に成功し、体調不良が改善され、服薬なしで高血圧・脂質異常・高血糖などが自然と改善していったそうです。いずれもカロリーなど気にせず、お腹いっぱい食事を楽しみ、アルコールもたしなんだうえ、運動は一切なし。

他にも書籍ではたくさんの事例が紹介されています。

脂肪は悪くない

自分の体についてる方ではなく食べる方の脂肪の話です。飽和脂肪酸ですが、昔から悪玉として見られてきましたがどうも間違いだったようです。昔行われた実験で草食動物であるうさぎに大量の脂肪をとらせて動脈硬化ができた、というのが脂肪悪玉説の源流だったとのこと。

飽和脂肪酸を減らすと、特に女性の場合、心臓疾患にかかるリスクが増えるらしいです。

また驚くことに健康的と信じられている植物油も摂取量が多いとガンの発症率や胆石になる率、暴力的な事件や自殺で死ぬ可能性が高いとのこと。

食後血糖値の安定が大切

糖質をとり分解された糖分がブドウ糖として血管内に放出されると、インスリンが分泌されブドウ糖をとりこみ、余った分は脂肪として蓄える。この反応が太る原因だと著者は言います。これは糖質をとったときのみに起こる反応で、たんぱく質や脂質の場合は起こりません。つまりたんぱく質や脂質を食べても太らないという主張です。

怖いのは糖質をとった後に急激に血糖値が上がり、その後インスリンによってブドウ糖が取り込まれ急激に血糖値が下がるグルコース・スパイクで血糖値が下がりすぎると意識を失うことも。さらに急激に下がった血糖値を上げるために脳から指令がでてホルモンが分泌され、なかでもアドレナリンという人を攻撃的にさせるホルモンがイライラを増幅します。

ひょっとするといつもイライラしている人は血糖値の上下動が激しいのかもしれません。人間の精神状態ってかなり食事に影響されるんですね…

感想

結論としては必要な栄養をしっかり摂る、必要でないものは極力摂らない、ということでしょうか。で、必要な栄養はまず肉・卵・チーズ+葉野菜で得られ、それでも空腹なら最後に炭水化物。

私も以前プチ糖質制限やってましたがちょっと痛い目にあいました。

それ以降は普通に食べてますが、大盛やお替わりは極力しないようにしています。

マラソンやトライアスロンではカーボローディングといって大会前に炭水化物を増やしてエネルギーの貯蔵量を増やすという技もあったりして運動と糖質は切っても切れない関係ではあります。しかしトライアスロン関係で昔話題になったマフェトン理論のように糖質をとりすぎるな、という意見もありました(こちらは炭水化物不耐症が理由ではありましたが)。

肉・卵・チーズを毎日食べる、という今までの常識を覆す食事法なのでちょっと最初は抵抗がありますが、とても文章が分かりやすく説明が上手なので読んでいくうちになるほどと思ってしまいます。

結局最後は自分で試すしかない、ですね。