書評『キャンプ×防災のプロが教える 新時代の防災術 アウトドアのスキルと道具で家族と仲間を守る!』

防災ってキャンプに似てるかも。そう思ったあなたにぴったりの書籍です。趣味としてキャンプを楽しんでおくことが、災害への備えにもなります。アウトドアライフアドバイザーの著者がアウトドアの知識を活かした防災について教えてくれます。

内容

序章 災害時の心構えと備え

広い空間を避難所として大勢で共有するのが、これまでの避難スタイルでした。しかしコロナウイルスの感染拡大で、避難所に依存しない分散避難の重要性が高まっているそうです。避難所を使わない避難としては

  • 在宅避難
  • キャンプで避難
  • 車で避難

などがあります。まず一番に考えるのは在宅避難。自宅の倒壊の心配がなければ、一番に考えたい選択肢です。

在宅避難では1週間の食料を準備するようにとのことです。もちろんローリングストックで。もう今は防災の情報ではまずローリングストックを勧めていて、高い防災食を買いなさいという情報はほとんど見ません。電気・ガスが止まっても暖かいものが食べられるということで、ガスコンロも重要だそうです。

またサバイバルの3の法則というのがあって、適切な体温を維持できなければ3時間、水分を摂取しなければ3日、食料と取らなければ30日しか人間は耐えられないそうです。

1章 火と水の確保

1章では、生きていく上で重要な水と火の確保について書かれています。水は基本は備蓄ですが、河川や湧水、雨水を活用する方法についても記載されています。

そこまですることはないかもしれませんが、浄水器なしに濁った水や海水を飲むための、フィルタに作り方についても説明されています。

焚き火については結構なページ数が割かれていて、かまどの作り方まで書いてます。

2章 道具とスキル

衣食住を中心とした、それらを使いこなす道具についての説明です。クッカー、バーナー、ナイフの説明からテント・タープ・寝袋の説明。そしてロープの結び方の説明もあります。

3章 避難シミュレート

災害が起こったときに、いきなり正しい行動を取ることは難しいことです。普段から避難が必要になる状況をシミュレートしておく必要があります。

避難するかしないかの判断、避難するときの持ち出し品、移動時の注意点、災害別の避難スタイル、暑さや寒さへの対策、救急救命の基礎知識などが紹介されています。

災害時にはパニックになったり、予想外のことが起こったりでトラブルは避けられないでしょうが、事前に想定しておくことでいくらかストレスを軽減できるはずです。

4章 食事のアイデア

最後の章は食事について。配給品に頼りきらず、水や燃料消費を押さえたり、限りある備蓄品を上手に活用しつつ、食事を楽しむ工夫が紹介されています。

暖かい食べ物が心と体を保つ

暖かい食べ物や飲み物が、体を温め、気力を回復してくれます。常備食をローリングストック。ポリ袋を使った、節水クッキングが紹介されています。ジップロックを使った炊飯も。

感想

災害が起こったときに、よくテレビで避難所の様子が映し出されます。体育館で大した仕切りもなく大勢の人が一緒に暮らしています。自宅が崩壊などしてどうしようもない場合では仕方がありませんが、できれば行きたくはないです。特にコロナなどの感染症のことなど考えると、確かに分離避難をまず考えるべきかな、と思います。そもそも大都市だと、避難所に全ての人が入ることは不可能でしょう。

防災のことを色々考えると、結局キャンプに近づくな、ということは感じていました。たとえテントまでは使わない自宅避難であっても、電気・水道・ガスのない生活は、キャンプでの知識が役に立つことは間違いありません。

結構ガチなサバイバル系の知識もあって、全てを使うことはないかもしれません。また自宅避難なら焚き火はしないでしょう。しかし知っておいて損はないですし、キャンプでも生かせる知識です。