書評『キャッチコピーの教科書』
「せっかく良い商品があるのに売れない」
「言いたいことがヒトコトで伝わらない」
「商品やサービスの良さをもっと多くの人に伝えたい」
「お客様が心から『欲しい!』と思うような売り方をしたい」
この本は、そんな人たちに向けた「キャッチコピーを作ることで、売上を上げる」ための本です。
著者について
著者のさわらぎ寛子さんは大手広告代理店でコピーライターとして働き、現在は独立しコトバワークス株式会社の代表取締役をされています。
集客文章アカデミーを主宰して、経営者や起業家向けにキャッチコピーや集客文章に関する講座を開催しているそうです。ちなみに今までに書いたコピーは3万本以上とのこと。
「売上を上げる」ためとは言ってもこの本に書かれていることは商品やサービスの紹介だけでなくホームページ、メルマガ、ブログ、企画書、ネーミング、提案書といったことにも十分応用のできる内容です。呼んだ人の気持ちを一瞬でひきつけ、次の文章に導いていくという意味ではすべての文章に応用できると思います。
キャッチコピー書くって難しいんでしょ?
キャッチコピーを書く、というとたくさんの言葉を知っている必要があって、センスも必要で…と考えてしまいますが、著者によると特別なセンスや語彙力は必要ないそうです(もちろんキャッチコピーのプロとして稼ぐ、となると話は別でしょうが)。実際著者は一般の中小企業経営者や商店主、起業家の方向けに講座を開いているそうですが、誰もがキャッチコピーを自分で作れるようになるそうです。
自分で売りたい商品やサービスがあるけどプロのライターさんに頼むほどの予算はない、でもちょっとでも多くの人の気を引きたい…キャッチコピーを自分で書くのは無理、という気持ちを吹き飛ばして自分で書けるようにしてくれるのがこの本です。
内容
この本は
- プロローグ
- Part1 キャッチコピーの基本
- Part2 購買意欲を高めるコピー
- Part3 欲望を刺激するコピー
- Part4 コピーの見せ方
- Part5 心にささるフレーズの作り方
という構成になっています。
2ページで1つのポイントが紹介されていて左のページで説明、右のページでそのポイントをイラストや例などを使ってわかりやすく補足されています。
参考になるポイントばっかりだったのですが、その中でも特に役に立った2点を紹介します。
ターゲットを明確にする
よく文章術の本ではペルソナと呼ばれる架空の人物を対象に書くことを勧められますが、著者としては架空の人物よりも実在の人物の方が良いとのことです。架空の人物では自分の都合のよいように想像してしまうからだそうです。
またターゲットを絞ることも重要で究極まで絞りターゲットをたった1人にまで絞ってその人に向けて書きましょう。
たった1人に向けて書いた言葉は、その周りにいる100人、1万人、100万人を動かします。男性も女性も、20代も50代も買って欲しいという思いで書いたコピーは誰の心にも届きません。
ターゲットを絞るために属性、価値観、悩みで分類する方法が紹介されています。
商品を知り尽くす
キャッチコピーは商品ありき。商品を知り尽くすことでしか、良いコピーは生まれません。
6W2Hを使って商品をアピールポイントを洗い出していきます。
「なぜ、この商品が生まれたのか?」「なぜ、この機能をプラスしようと思ったのか?」などさらに商品について深く伝えます。作り手がどんな思いで作ったのか、生産工程でのエピソードなど。
さらに商品に隠されたミッション、この商品の役割・使命を伝えることで見込み客の心をぐっと掴めるようになるそうです。
そしてその商品がもたらすベネフィット(利益)を伝え、この商品・サービスを手にすることで生まれるシーンを想像させます。よく言われることですが客はものを買うのではなく価値を買う。その商品を使う前と使った後、ビフォーアフターを見せてどんな変化が起きるのか伝えてあげます。
感想
私が特に注目したポイントを紹介しましたが、この書籍ではこういったポイントが全部で65個紹介されています。
私はこの手の学習書を読んだ後は復習のために内容をまとめることが多いのですが、この本はまとまりすぎててこれ以上まとめることがかなり難しかったです。3万本のコピーのエキスがギュッと濃縮されています。
今は個人が情報を発信する時代。あれやこれやといろんな手でお客様の心をくすぐってくれるポイントを教えてくれ、プロでない自分でも何か作れそう、そんな気にしてくれます。