書評『伝え方が9割』&『伝え方が9割 2』

コピーライターとして配属された著者。文章の書き方を知らず、漢字もろくにかけない。自分には才能がないと毎日思い悩み、ストレスで過食になり1年で10キロも太った著者。もがきながら大量の名作のコトバを見て、考え、試行錯誤。そして見つけた真実。

「伝え方にはシンプルな技術がある」「感動的なコトバは、つくることができる」

「ノー」を一つでも多くの「イエス」に変えてくれる書籍です。

内容 (伝え方が9割)

第1章 伝え方にも技術があった!

「この領収書、おとせますか?」
「いつもありがとう、山田さん。この領収書、おとせますか?」

上の二つの文章はどちらも同じことをお願いしています。しかし下の言葉は成功率が上がるとのこと。なぜなら…

  • 「ありがとう」と感謝するコトバに、人は否定しにくい
  • 「山田さん」と名前を言われると、人は応えたくなるから

人生は、小さなものから大きなものまで、伝え方で変わります。しかも人生の節目になるような、重要なポイントになればなるほど、伝え方がダイレクトに結果にむすびつくのです。

伝え方は学校では教えてもらえせん。参考書もありません。伝え方がうまい人とそうでない人がいます。うまい人は生きてきた環境により、長い経験の経験として身についてきた、と著者は言います。そして問います。伝え方は鍛えることができるのでしょうか?

その質問に、私は胸を張って「イエス」と答えます。

著者が行なっている社会人講座で、驚くほどの変化をする人たちを見てきたそうです。

卓球に例えた話が書かれています。仲間で行った先の温泉にあるピンポン、たいていは経験者がいて、にわかに人気者になります。しかしうまい人とそうでない人の差は、ちょっとしたコツを知っているかどうか。伝え方も同じと、著者は言います。コツを知っているかどうかで周りの見る目も、評価も変わると。そして本書のめさずところは、

人生の決め所で、狙ってスマッシュを打てるようになる。

伝え方は一生の武器となる、と著者は言います。資格より伝え方を学べ、と。

第2章 「ノー」を「イエス」に変える技術

コトバとは思いつくもの、と一般的には思われています。しかし著者はコトバを「つくる」ことをしているそうです。

結果を変えるお願い言葉のコトバの作り方として、3つのステップを提案しています。

  1. 自分の頭の中をそのままコトバにしない
  2. 相手の頭の中を想像する
  3. 相手のメリットと一致するお願いをつくる

大切なのは、相手の文脈で作ることだそうです。

そしてステップ2で相手の頭の中を想像するときの7つの切り口を紹介しています。

  1. 相手の好きなこと
  2. 嫌いなこと回避
  3. 選択の自由
  4. 認められたい欲
  5. あなた限定
  6. チームワーク化
  7. 感謝

書籍ではそれぞれの項目を、具体例をあげながら解説しています。そして、2つの課題「自転車を置かないで」「ムダな電気を消して」を通して、どう言えば相手にお願いを聞いてもらえるのか、学んだことを実践していきます。

「ノー」を「イエス」に変える技術の答えは、相手の中にある、と著者は言います。

あなたのお願いを実現させる答えは、自分の中にない。相手の中にある。

第3章 「強いコトバ」を作る技術

この章では著者が数十年かけて発見した「強いコトバをつくる過程」を体験できるとのこと。数十年が数十分で体験できるのはすごいですね。ところで強いコトバとは何でしょう?

人の感情を動かすエネルギーのあるコトバ

著者はこのエネルギーのことを「コトバエネルギー」と呼ぶそうです。「感動」という掴みどころのないものを、「エネルギー」と捉え直すことであやつることができるようになるそうです。

ではどうすれば「コトバエネルギー」を作り出せるのか?

それはジェットコースターと同じ原理で、コトバに高低差をつけてあげれば、エネルギーは生まれるとのこと。「あなたが好き」より「嫌いになりたいのに、あなたが好き」の方が、高低差がある。

強いコトバを作るための5つの技術が書かれています。

  1. サプライズ法
  2. ギャップ法
  3. 赤裸裸法
  4. リピート法
  5. クライマックス法

書籍ではそれぞれの技術の解説とともに、”「今日は暑い。」リピート法で、強いコトバにしてください”と、いう具合に、課題を問いていく形式にもなっています。

この5つの技術を知ったことで、「コトバが変わったね」と言われることもあるだろう、と著者は言います。そしてこの5つの技術は国を超えて通用する、と。

他にも、10分で「強い長文」をつくる3つの技術、メールを魅力的にする方法、も紹介されています。

内容 (伝え方が9割 2)

ベストセラー「伝え方が9割」の続編です。いきなり「プロのシェフの味」は出せませんが、「ご家庭で味わえるプロの味」を、自分のものにすることができる書籍だそうです。

章構成としては前作とほぼ同じで、前作の2章と3章を再度取り上げています。

  • 第1章 完ぺきに身につける!「ノー」を「イエス」に変える技術
  • 第2章 完ぺきに身につける!「強いコトバ」を作る技術

前作の反響をうけ、具体的な事例で実践的なストーリーを追加する形になっています。

そして、強いコトバを作る技術に3つが追加されています。

  1. ナンバー法
  2. 合体法
  3. 頂上法

こちらも書籍では事例とともに詳細に解説されています。

本書の目的は、前作と同じで「ノー」を「イエス」に変えること。人は1日に平均して22回のお願いをするそうです。1日に1回、「ノー」を「イエス」に変えるだけでも、1年で365回、3年で1000回以上。

1000回、今まで「ノー」と言われたものを「イエス」に変えることができたら人生変わると思いませんか?

感想

「ノー」を「イエス」に変える魔法を学べる書籍です。流石にベストセラーになるだけあって、分かりやすいし、読みやすいです。すらすら読めます。集中して読めば、本を読むのが遅い私でも、1時間もあれば最後まで読めるくらいです。

2巻に関しては前作を補強する内容で、個人的には読んでよかったと思います。やはり具体的な事例があると分かりやすいです。

私はこの手の本が好きでよく読むのですが、内容に関しては正直、どの本でも言ってることは大体似たような印象です。ベストセラーになるかならないか、それこそ伝え方がうまいのでしょうね。

この本は物語ではないので、読んで「あー、面白かった」で終わらせないようにしたいです。ひたすらトレーニングを続けて、一生物の武器を手に入れたいと思います。

  • 佐々木 圭一
  • ダイヤモンド社
  • 佐々木 圭一
  • ダイヤモンド社