書評『「売る」文章51の技~説得力あるキャッチコピーとロングコピーの作り方』

人の気持ちを掴みたい。そういう文章を書けるようになりたい。そんな人は多いと思います。私もその一人です。

人の気持ちを掴む文章、といえば商品を紹介するキャッチコピーが思い浮かびます。

キャッチコピーとは?

キャッチコピーとは何でしょう?Wikipediaからの引用です。

キャッチコピー、キャッチフレーズとは、主に商品や作品の広告など、何らかの告知や宣伝に用いられ、謳い文句や煽り文句となる文章である。惹句とも呼ばれる

広告のうち商品や作品(あるいはその広告の本文)に惹きつけられるように掲げられるインパクトを持たせたコピー。

また本書ではリードコピー、ボディコピーという言葉も出てきます。

リードコピー
リードコピーはキャッチコピーからの導入部であり本文(ボディコピー)を読ませるための部分をいう。

ボディコピー
ボディコピーは広告の本文にあたる部分であり、キャッチコピー、本文への導入部のリードコピー、広告の本文にあたるボディコピーのように順に構成される。

この本の対象者は?

読んでいる人の気持ちを引きつける魔法のような文章、プロのコピーライターにだけ必要とされている技術ではありません。全然関係ない仕事であっても人の気持ちを引きつける文章というのはとても大切です。

  • メールで人に何かをお願いする
  • プレゼンで商品のメリットを伝える

等、言葉を使う以上は誰にとっても大切な技術です。

この書籍はタイトルにあるとおり物やサービスを売るためのキャッチコピーや長めのロングコピーについての書籍です。といってもコピーだけでなく通常の文章にも十分使える内容だと思います。実際このブログの記事もこの本に照らし合わせながら頑張ってみました。

言葉ってとても重要

言葉使いひとつで売れなかった商品が売れるようになったり、困難な時に助けを得られたり、逆にうまく思いを伝えられず仕事がうまくいかなかったりと言葉が人生を決める、と言っても過言ではないと常々思っています。

内容

タイトルにある通りこの本ではコピーを書く上で役に立つ51のポイントを紹介しています。

この書籍は大きく5つに分かれます。
・準備編
・プランニング編
・ライティング編
・説得力アップ編
・編集編

準備編

著者はコピーライティングを料理にたとえます。

「材料七部、腕三分」これは料理を上手に作るコツとしてよく使われる言葉だそうです。美味しい料理になるかどうかは、料理人の腕よりも良い食材かどうかの方が大きいとのこと。

文章では下調べ、執筆、推敲とプロセスがあり料理での材料にあたる下調べが一番重要だと著者は言います。

「材料七分」というくらい、きちんと準備をしてこそ、心動かす文章は生まれてくるのです。

「書くための<仕入れ>で商品を知り尽くす」、「文章を書く前に<リストアップ>で商品を知り尽くす」など準備編では商品を知ることについて述べられています。

プランニング編

誰に伝えたいのか?すべての人向けでは伝わらない

プランニング編ではどういう人を対象にしているのか、伝えたい相手のことを考える、ことについて記載されています。

興味があるのは「自分ごと」だけ

ユーザーのことを想像しないで書いたコピーは、高い確率で無視されるそうです。確かに興味のないことに自分の意識を向けることは少ないですよね。

相手の知らない言葉を使わない、相手にあった表現を使うなど「相手無視のオレ様コピー」にならないコツが紹介されています。

ライティング編

どんなコピーにも共通する「基本構造」があった!

この章ではコピーの基本の型、についての説明があります。構造を意識するだけでもライティングがレベルアップするそうです。

よく言われる「起承転結」については著者は忘れましょうと言います。

よく文章の指南書には、構成は「起・承・転・結」でと書かれています。
(中略)
しかし、そのうちに気づきました。シンプルな原理ではあるが、実践すると意外に難しいことに。

起承転結を忘れる代わりに説得のシナリオの基本パターンを覚えたい、とのこと。

また他にもこの章では「簡潔さ」、「メリハリ」、「リズム」、「表記のルール」についてのポイントも紹介されています。

説得力アップ編

ここではコピーのシナリオ(ストーリー、流れ)について書かれています。先ほどのライティング編であった起承転結を忘れる代わりに覚えたい、というパターンですね。

よく使われるパターンとして
・お悩み解決型
・ハッピー先出し型
・特徴アピール型
・論より証拠型
・ハリウッド映画型

の4つのパターンが挙げられています。

1つの事例(スヤスヤまくら)のコピーをそれぞれのパターンで書くとどうなるか例が紹介されているため、それぞれのパターンがどういう雰囲気になるのかを把握できます。

例えばお悩み解決型では

肩こりがする、首が痛い……。
もしかすると、枕が合っていないかもしれません。
頭の大きさや首の長さは人それぞれ。
(中略)
枕の中身が最適な高さや固さに変化します。
頭をやさしく包み込むような心地よさ。
だから、スーッと眠れて、目覚めもすっきり。

と、実際よく商品説明でも見かけるタイプですね。

他にもこの章ではコピーの出だしを「本当に役立つイントロの技術7選」として紹介、また「情景が目に浮かぶように書く」といったことについても記載されています。

編集編

形になったコピーを磨きあげるプロセスについての説明です。

何を残して、何を捨てるか、編集も大切なプロセス。

キャッチコピーから書くことにこだわらず、ボディコピーを先に書きそれを元にキャッチコピーに編集する、といったやり方も紹介されています。

また個人的にも苦手な文章を膨らませる技術「コピーをうまく増やす技術」についての説明がありました。

小細工はムダな努力

小細工、つまり漢字をひらがなにしたり、改行したり、読点「、」を増やすといったことをオススメしていません。「情報をくわしく掘り下げるか、別の内容を挿入する」やり方を説明しています。

感想

この本はコピーについての本ですが、最初に書いた通りコピーに限らず全ての文章に使えると思います。それも書く文章に限らず話す文章にも。

コピーライティングにはスポーツと同じようにある程度までレベルアップできる基本的な技術があるのです。それを身につければ、恥ずかしくないコピーを書くことができます。あとは経験を積みながら、基本技術の精度を上げていく。

あとは練習あるのみですね。